「そうだな。
色白で…そう、右の目尻にほくろがあった。」

「あ…そうだそうだ!
特徴っていえば、そんなもんだな。」

「目尻にほくろねぇ…
俺も、そんなに店の外には出ないせいか、そんな娘には覚えがないな。
なんだい、あんたらその娘を探してここまで来たのかい?
二人で、一人の娘を取り合ってるのか?」

「ば、馬鹿言うなよ!
それは、俺の……妹だ!
ちょとしたことで家出をしちまってな。
どうやらこっちに向かったことはわかってるんだ。
それで、友達のレヴと一緒に探しに来たってことなんだ。」

「そうだったのか。
そりゃあ、心配だな。
手掛かりはこっちに向かったってこと以外はないのかい?」

「そうなんだ。
この町の手前の民家で、妹らしい娘がこっちに走って行くのを見たっていう話を聞いたから、きっとこの町に来たと思ったんだがな。」

「そうか…
あ、でも、それならもしかしたらあの魔法使いの婆さんの家に行ったのかもしれないぜ。」

「魔法使いの婆さん?
さっき話してたイカレた婆さんのことか?」

「そうだ。
この町の少し手前に細い脇道があったはずだ。
あそこをずっと進んで行くと山があってな。
そこに、婆さんは住んでるんだ。
……あ!いらっしゃい!」

主人は、ちょうどその時、店に入って来たお客に注文を聞きに行った。




「レヴ、今の話、どう思った?」

「可能性は高いんじゃないか?
なぜなら、私達がここへ着いた時、この町はまだ死んだままだった。
しかし、ここへ来るまでの間の民家の人達は普通に動いていた。
つまり、ルシアは、あの洞窟からこの町の間のどこかにいると考えるのが自然じゃないか。
民家にはいる様子はなかった。
たいていの場所は探したはずだし、探してないとすれば、その魔法使いの老婆の家だけじゃないだろうか。」

「そうだな。
そんな脇道があったことなんて、俺、全然気付かなかったよ。」

「私もだ…
ルシアはこの町にいるとばかり思っていたから、二人とも見逃してしまったのかもしれないな。」

「じゃあ、行ってみるか。」

「そうだな。」

思わぬ所で思わぬ情報が得られた。
私達は、早速、その老婆の家に行ってみることにした。