ところが、事態は私の思った通りにはならなかった。



「レヴ、みつかったか?」

「いや、いない…
そっちもだめだったか?」

「あぁ…どこにもいない。」



私が起きた時、すでにルシアの姿はなかった。
しかし、それは雨があがったので近くに顔でも洗いに行ってるのだろうと軽く考えていたのだが、待てど暮らせどルシアは戻って来なかった。
さすがに心配になった私達は、そこらを探して回ったが、ルシアの姿はとうとうみつけることが出来なかった。





「レヴ、これからどうしよう?
ルシアは先に進んだんだろうか?」

「わからんな。
しかし、これだけ探してもいないんじゃ、このあたりにはいないのかもしれないな。」

「でも、一人で一体どこへ…
ルシアは金も持ってないだろう?」

「あぁ、グレンがくれた金は私が持ってるからな。」

「じゃあ、戻って来るんじゃないか?
なんとなくむしゃくしゃして出たものの、行く場所も金もないとなると戻って来るよな!?」

「そうかもしれないな。
では、とりあえず、今夜はここで待ってみるとするか…」

私達は、その晩もほとんど眠らず洞窟で彼女の帰りを待ったが、次の朝が来ても彼女は戻っては来なかった。

そして、その後もやはり戻って来る方に賭け、私達は彼女の帰りを待ってみたが、やはりルシアは戻らなかった。

私達はようやく洞窟を離れることにした。



「失敗したな。
こんなことなら、先を急いだ方が良かったかもしれない。」

「……レヴ……
まさか、ルシアはもうこの世にいないんじゃあ…」

「馬鹿なことを言うな!」

「だって…おかしいじゃないか。
頼る人も金もないのに飛び出していくなんて…
それに、最近のルシアは口数も少なけりゃ食欲もなくて、精神がずいぶん弱ってたことは、あんただってわかってたんじゃないか?!」

「それはそうだか…」

「じゃあ、そんなことだって十分あるんじゃないか?」

セルジュの言葉に、私は何も言い返すことが出来なかった。

そんなことは考えたくはなかったが、心の底では実は私もそんな想像をしていなかったわけではない。
ただ、それを口にしたくなかっただけなのだ。