その晩、私はセルジュと今後のことについて話し合っていた。
ルシアの出現により、私達はこれからも先へ進まなくてはいけないということを実感した。
話の本題は、いつここを旅立つかということだ。
これからは、ルシアも行動を共にすることになるだろう。



「レヴ…
俺が、あんなことを言い出したから、ルシアはこの世界に連れて来られたんだよな…
俺のせいだな。」

「そうではないさ。
私だって、君の提案に乗ったんだからな。
そういう意味では私も同罪だ。」

「ルシアには本当に悪い事をしてしまったな。」

「……過ぎたことを言っても仕方ないさ。
これで、もう私達に選択肢はないことはわかったのだ。
このまま、誰かさんの言いなりになってやろうじゃないか…!」

「なんだか悔しいな…!」

「考えてもみろ。
私達がルシアと出会った場所の事を…
まるで、私達があの場所へ行くことをすでにわかってたようだと思わないか?
残念なことだが…そんな奴に逆らおうとしても、土台無理な話だったのかもしれないな。」


「そうか…言われてみたらその通りだな。
あの町に行ってみないかと言い出したのも、俺達じゃない。
グレンだもんな。
なのに、俺達はあの場所でルシアと出会った…いや、出会わされたという方が正しいんだろうな。
そんなことが出来る奴が相手じゃ、敵わないのも当然ってことか…」

セルジュはそう言って、がっくりと肩を落とした。



私達はルシアを故郷へ送り届け、そしてそのまま故郷へ帰る事を決めたという作り話をグレンに告げた。
そんなこととも知らずグレンは、十分過ぎるほどの路銀まで持たせてくれた。



「本当に世話になったな。
ありがとう!感謝してるよ。」

「なに、たいしたことじゃないさ。
僕も君達と一緒に過ごせて楽しかったしな。
良かったら、ぜひ、また遊びにきてくれよ!」

「ありがとう、グレン!
元気でな~~!」

本当のことを言えないことにいささか心は痛んだが、致し方ない。
心の中でグレンに詫びながら、私達は旅立った。