「選択肢か……」



セルジュはそう呟いたまま、黙りこんでしまった。

確かに、セルジュの言う通りだ。
何者かの意のままに動かされているという事実には、私も納得しているわけではない。

だが…それ以外に出来ることがないのだから、それはそれで仕方がないことなのではないかと考えていた。



「……レヴ…!そうだ!
この手があるじゃないか!」

「どうした?
何か、思いついたのか?」

「あぁ…
なんで、今まで気付かなかったんだろう…
レヴ、あったんだ!
俺達にはもう1つの選択肢があったんだ!」

「もう1つの選択肢?
セルジュ…それはどういうことなんだ?」

「それはな…簡単なことだ。
つまり…なにもしないってことさ。」

「何もしない…?」

「そう…俺達は今まで、とにかく出口を求めて動いて来た。
そうするしかないと思ってたからな。
でも、何もしないってことも出来るじゃないか!
俺達を操ってる奴は、俺達が出口をみつけ次の道に進むことできっとなんらかの利益を得てるんだ。
なにかの目的があるんだが、それを自分で出来ないからきっと俺達を操ってるんだ。
でも、そのゲームの駒である俺達が動く事をやめたら…
そいつはきっと焦るんじゃないか?
焦って、なにかをしてくるんじゃないだろうか?」

「……なるほど…
すごいじゃないか。よくそんなことに気が付いたもんだな。」

「まだ成功したわけじゃないさ。
何も起こらないかもしれないし、もしかしたら逆に状況が悪化することだってあるかもしれないんだぜ。」

「でも…やってみる価値はあるんじゃないか?」

「本当に良いのか…?」

「あぁ…
私も正直言って、今の状況が楽しいわけではなかったからな。
少しでも抵抗してみせてやろうじゃないか…!」

「あんた、思ったより、話がわかるじゃないか!
よ~しっっ!
俺達はこれから何もしないぞ!
このままで過ごしてやるからな!」



セルジュは誰かに言い聞かせるように大きな声でそう叫んだ。