「ごめんね、巻き込んじゃった」
「…べつに」
そう言って立ち去ろうとすると腕を掴まれた
「……は」
「ねえ、キミ臨風高校の生徒だよね?」
「だったら、何。離して」
振り払おうとするけど、力が強くてできない
「あのさ、俺、行き方わからないんだよね。連れてってくれない?」
そう言ってこいつは笑った
でも、目は笑ってなかった
なんだこいつ
作り笑いか
「むり」
即答すると、驚いたような顔をされた
でも、一瞬にして表情が戻り
「んー、じゃあついてくね」
と、また作り笑いをした
「…作り笑いとか、きも」
ボソッと言った一言だけど、聞こえてたみたいで…
「は?」
声が低くなった
……面倒な事になった
あたしはその男を置いて走って行く事にした
「ちょっっ!!」
声がするけど振り向かない
不良とか、勘弁して
面倒な事はいやなの
