居心地の悪さを誤魔化すかのように、気付くとかなりの量のお酒を飲んでいた。
「そろそろ出ようか」
誰かの声でみんなゾロゾロと個室を出た。
飲み放題で会費はすでに渡していたので幹事の人に支払いはお任せしている。
歩きながらお姉様たちはこの後はカラオケでも、なんて話で盛り上がってる。
あたし以外の女子メンバーはお酒を控えめに飲んでいたみたいで足取りもしっかりしている。
居酒屋を出るとほろ酔いの身体に生ぬるい夏の夜風がまとわりつく。
あたしは、ようやく合コンから解放される喜びで気が緩んでいた。
「うわー満月だ。キレイだな」
夜空を見上げポツリ呟いてると足元がふらつき、とっさに隣にいた遥が身体を支えてくれた。
「柚音、あんた飲み過ぎだよ。大丈夫?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ」
「どこが大丈夫なのよ。言ってるそばからフラフラしてるでしょ」
「ふふ、遥は心配性だなぁ」
少しふわふわしているだけで、問題はない。
タクシー拾って帰ろうかなと思っていたら不意に誰かに名前を呼ばれた。
「柚音、か?」



