キモチの欠片



「相変わらず原田くんは爽やかな男だよね。仕事も出来るし今のところ欠点なんて見当たらないわ」


香苗先輩と原田さんは同期で仲がいい。
そんな香苗先輩のお墨付き。

優良物件の人なら女性は放っておかないよね。



「香苗先輩、原田さんて彼女いるんですか?」


なんとなく聞いてみた。


「彼女?どうだろう。そんな話は聞いてないからいないと思うけど……って柚音、もしかして原田くんの事好きなの?」


香苗先輩は驚きで目を見開いた後、小声で聞いてくる。


「いや、好きとかそんなんじゃないんですけど」

ちょっと気になって、と小声で返す。


ちなみにあたしには今、彼氏はいない。


香苗先輩は一歳年下の彼氏がいて、いつも惚気け話をしてくる。
あたしは、それを羨ましいなと思いながら聞いている。


香苗先輩にはてっきり年上の彼氏かと思っていたんだけど。
どうやら見た目に反して、姉さん女房的な感じだった。

香苗先輩はしっかりしているし、彼氏を優しく包み込んであげているんだなと納得した。