キモチの欠片


あたしの心臓が壊れちゃうんじゃないかってぐらいバクバクと音を立てる。

葵はギュッと力を込めてあたしを抱きしめる。
葵の身体から香水に混じり仄かにタバコのにおいもする。

いつまでじっとしてればいいんだろう。

そのまま身を委ねているとドクドクと激しくリズムを刻む鼓動が聞こえる。
これって葵の心臓の音だよね。

あたしだけじゃなく、葵もドキドキしてるの?


「バカゆず。俺の気持ちも知らないで……」


葵は苦しそうな声色でボソリと呟く。

葵の気持ちって?
言葉の意味を探ろうと顔を上げるとあたしを見下ろす葵と目が合った。

ち、近いよっ。
それにどうしてそんな愛おしそうな、優しい目であたしを見るの?

どうしよう、息が出来ない。

葵のこんな表情なんて見たことない。
不覚にも胸がキュッと締め付けられる。

なに、これ……。