キモチの欠片


「なにそれ、逆ギレ?」

葵とは話にならない、と部屋に戻ろうと歩き出したら急に膝がガクンとなった。
あっと思った瞬間、あたしの身体はグラリと傾いた。

酔いの回った身体はコントロール出来ない。
諦めてギュッと目を瞑り、身体にかかるであろう衝撃に耐えようとした。


「ゆずっ」

葵に名前を呼ばれ腕を掴まれグイッと引き寄せられると、ふわりと香水の匂いが鼻を掠めた。
そして、あたしの身体は葵に包まれていた。

えっ……と、これはなんだ?
どうしてあたしは葵に?

「ちょ、ちょっと離してよ」

葵の腕の中から抜け出そうと身体をモゾモゾと動かしてみる。

「うるせぇ、少し黙ってじっとしてろ」

うるせぇってなんなのよ、と思ったけど語気を強めた葵の態度に身体をビクリと震わし、言われた通りおとなしくした。