キモチの欠片


一人うんうんと頷き、またビールを飲む。

遥は楽しそうに原田さんと会話してる。

よかったね、遥……なんて子を見守る母親のような気分でその光景を見つめ、あましは完全に一人の世界に浸ってる。


「河野さん、いい飲みっぷりだね。お酒好きなの?」


あたしの正面に座ってる開発の遠藤さんが話し掛けてきた。


「はぁ……まぁ、嫌いじゃないです」


飲めるけどあまり強くはない。
飲み過ぎて朔ちゃんによく迷惑をかけてるし。


今日は朔ちゃんいないし控えめに飲まないとフォローしてくれる人がいないから気を付けなきゃと頭の片隅で考える。
泥酔して醜態をさらす訳にはいかないもんね。


「そっか。あ、今日は来てくれてありがとね。マジで嬉しいよ」


遠藤さんは満面の笑みであたしを見る。


「えっ、」


なんであたしはまた感謝されてるんだろう。
思わず首を傾げる。

けどその答えはすぐに解けた。