キモチの欠片


ちょっと待って。今、開発の羽山って言った?


「ねぇ、遥。もしかして開発の羽山ってあたしらの同期の羽山葵?」



まさか、葵が合コンなんて……。

いや、でも開発の羽山なんて一人しかいないし。


「そうだよ。柚音ったら何言ってんの。羽山くんにはいつもは断られていたのに、今回は初めて誘いに乗ってくれたらしくて、お姉様たちがかなり喜んでるの」


テンション高く話す遥。あたしとの温度差がありすぎる。

どうして葵が合コンなんか……グルグルと考え事をしていたら扉をノックする音が聞こえた。


そして、ゆっくりと扉が開きバッチリメイクに綺麗に着飾ったお姉様たちが入ってきた。



「遅れちゃってごめんなさいね」


「柚音ちゃん、今日は来てくれてありがとね。あなたのお陰でいい男が集めれられたわ」


あたしの手を握り微笑んでいる。っていうか“柚音ちゃん”て呼んだ?
いつから親しくなったんだろう。