キモチの欠片



「何よそれ、気持ち悪いとか失礼じゃん」


葵のシャツにもう一度掴みかかろうとしたらその手を逆に掴まれた。


……っ、葵の手の感触にドキッとする。
ベンチから立ち上がり、そのままあたしの腕を引っ張って立たせる。



「腹減ったから飯食いに行こうぜ」


そう言って葵は手を離し歩き出した。
あぁ、もう強引なところは少しも変わってない。



「あたし、行くって言ってないわよ」


葵の背中に向かって叫ぶとピタッと立ち止まって振り返った。



「せっかくだから奢ってやる。いいからゴチャゴチャ言わずに早く来いよ」


笑いながら手招きする。

奢りか……奢りならと考え直し、葵の隣に駆け寄った。


「そこまで言うなら仕方ない。一緒にご飯食べてあげるわよ」


「ホント素直じゃねぇな」

あたしを見下ろし、フッと口元を緩めた。