キモチの欠片


「まっ、これはお互い様って事でチャラにしようぜ」

うんうん、お互い様か、確かにね……って


「ハァ?何言ってんの。チャラになんてできる訳ないでしょ。あたしの傷付いた乙女心はどうしてくれんのよ」

葵の胸元のシャツを掴んでユサユサと身体を揺らす。


「ちょ、マジ止めろよ。ホント狂暴な女だな。騒ぐと口塞ぐぞ」


嫌そうな顔をしてとんでもない事を口にした。


慌ててシャツを掴んでだ手をパッと離し距離をとる。
口塞ぐぞってなに言ってんの。


葵は乱れたシャツを整える。


「ゆず、今の喋りの方が“らしさ”が出てるぜ。俺に敬語使うなんて慣れてないから疲れるだけだろ。それにいつも顔引きつってたし。もう意地張らずに素直になれよ」


笑いながら言う。