キモチの欠片


「不本意ながらそうなんだよ!で、無視され続ける俺の情報を花音さんにも報告して……。ホント、親父たちは余計な事ばっかりするんだよ。うちのお袋と花音さんで話し合って諦めた方がいいんじゃないかって結論になり、ゆずを忘れるためには新しい恋をした方がいいとかふざけたことを言い出して迷惑してたんだよ。だから全部、ゆずの責任!」

全部あたしの責任ってなによ!

確かにあたしも悪いけど、元を正せば葵のせいじゃない?
先に葵があたしを避けたりするから話がこじれたんだし。
反論しようと口を開こうとした瞬間。

「だから責任とって俺を幸せにしろよ!」

そう言ってあたしの手を握ってきた。
幸せにしろってなんて偉そうな男なんだろう。
でも……。

「仕方ないから幸せにしてあげるわよ。その代わり、あたしのことも絶対に幸せにしてよね」

つい売り言葉に買い言葉で返事してしまうのはクセというか条件反射なんだよね。

意地っ張りなあたしらしいセリフだけど、そこには嘘はひとつもない。
手を握り返しながら言うと、葵は顔を綻ばせた。

「当然だろ。二人で幸せになろうぜ」

何かこのやり取りってプロポーズみたいとか思ったら変に意識してしまい、照れくさくなる。

「ゆず、今のはまだプロポーズじゃないからな」

あたしの考えを見透かしたように言う。
そして葵は握っていた手を離し、真剣な表情で見つめてきた。