「お前なぁ、会社終わってすぐ来たからまだ飯食ってないんだろ。前に空きっ腹で酒飲んでベロンベロンに酔っぱらって俺が介抱してやったの忘れたのかよ。だからアルコールは出せない。ホントにお前はいくつになっても学習能力がないな」
小馬鹿にしたように言う。
「何よ、朔ちゃんのケチ」
口を尖らせ、文句を言いつつもジュースを飲む。
あぁ、耳が痛い。
確かに朔ちゃんに迷惑をかけたという自覚があるのでこれ以上はなにも言えない。
「ケチで結構。お前を抱き抱えてタクシーに乗ってマンションまで連れていって……マジで腕が痛くて次の日は使いもんにならんかったわ。バーテンの腕をなんだと思ってんだよ」
「ごめんね、朔ちゃん」
上目遣いでちょっと小首を傾げ、可愛らしく謝ってみた。
「そんな可愛らしく言っても俺には通用しねぇよ。お前、バカだろ」
朔ちゃんは容赦なしに毒を吐く。
ホント酷いったらありゃしない。



