キモチの欠片


「だからって、あたしの希望も聞いてくれてもいいじゃない!」

「お前の好きな物も頼んでるから心配するなって」

葵にジト目を向けていると前菜の生ハムと旬の野菜のサラダ、明太子とチーズのオムレツなどが運ばれてきた。

「あ、生ハム」

「ゆず、好きだろ」

自信たっぷりに言われ、納得がいかないけど頷く。
この前のメロンとかあたしの好きな物をちゃんと覚えてくれていることは素直に嬉しい。

「このドレッシングが絶品だから早く食べてみろよ」

薦められて、フォークで野菜と生ハムにドレッシングを絡めて口の中に入れた。

「ん!美味しい」

思わず声をあげてしまった。
コーンポタージュ風味のドレッシングがすごく美味しい。

「だろ」

あたしの反応に満足そうに笑う。
葵はそのサラダを一口食べただけで、野菜がたくさん残ってるお皿をあたしの方へ寄せてくる。

「どういうこと?」

「全部やるよ」

「えー、こんなに大量にいらないよ。サラダだけでお腹いっぱいになるじゃん」

他にもいろんな料理が食べたいのに。

「俺、生野菜はそんなに好きじゃねぇから、ちょっと食ったら満足なんだよ」

「は?だったら注文しなくていいじゃん。葵も食べてよ」

「うるせぇな。あと少しだけだぞ」

葵は仕方ないとばかりにため息をつき、小皿に半分のサラダを取り分けた。
最初からそうしてくれたら問題ないんだよ。