うちのパパと葵のお父さんは年齢的にも近く、よく張り合っていた。
というか、うちのパパは全くそんなつもりはなく、葵のお父さんが絡んでいたって感じだった。
葵のお父さんは常に全力投球で熱い人だったのを思い出す。
運動会の場所取りしたり、一緒にバーベキューをした時は率先してお肉焼いたりしていた。
葵のお母さんの真美子さんから「あれやって、これやって」と言われても嫌な顔しないでやってあげていた。
社長という雰囲気を全く出してなかったし、子供想いの優しいお父さんて感じだった。
今の社長は威厳たっぷりで、秘書の男性を従えて颯爽と会社に出勤している。
だから、幼い時の記憶しかないからうちの会社の社長が葵のお父さんというのが全く結びつかないし、顔を見ても全く気が付かなかった。
『葵はお調子者だけど、一途なところが取柄でね。幼稚園の頃、将来の夢は『おとうさんのかいしゃをついで、ゆずとけっこんする』と画用紙にでかでかと書いていたんだよ。その二つの夢が叶うのかと思ったら泣けてくる……』
社長は感極まっているのか言葉を詰まらせる。
『葵は会社でまだ自分の素性を重役以外には明かしていないんだよ。入社したばかりだし、自分の力でどこまで出来るかチャレンジしたいんだとか言い出してね。私も葵の成長を楽しみにしているんだ。柚ちゃん、これからも葵のことをよろしく頼みます』



