はぁ、ようやくか……。
ベッドに腰をおろし、そのまま仰向けになり天井を見つめる。

飯食ったあとにゴチャゴチャ喚いていたゆずを強制的に俺の部屋に連れてきた。

そのゆずは今バスルームにいる。
柄にもなく緊張している自分に気付き、苦笑いする。

そっと目を閉じて、ゆずと再会するきっかけとなったことを思い出した。


俺が大学四年になり久々に実家に戻った時、たまたまゆずの母親の花音さんが来ていた。
花音さんからゆずが短大を卒業したにも関わらず就職もしないでフラフラしてるという話を耳にした。

俺は親父の会社に就職しようと決めていた。
花音は短大だったし、地元には戻らずに就職しているもんだと思っていた。

それがまだ就職していないと聞いて、俺にとって願ってもないチャンスだと思った。
これを逃したら、二度とゆずに会えないかも知れない。

俺はすぐさま、ゆずに親父の会社の就職面接を受けるように花音さんに薦めてみた。