「あ、待てよ。なんだよ、今の。好きならもっとそれなりの告白とキスをしろよ」

なに言ってんのよ。
こんな人の往来もある道路で告白させるというムードもへったくれもないようなことさせて。

これ以上は無理だよ。


「うるさい、あたしは家に帰るんだから」


真っ赤になってるであろう顔を見られたくなくて早足にマンションに向かってると、不意に右手に感じた違和感。

葵が手を握ってきて指を絡めた。

俗に言う“恋人繋ぎ”だ。

ジワリジワリと葵の手から熱が伝わってくる。


「なぁ、俺とゆずは同じ気持ちだってことでいいんだよな?」


確認するように聞いてくるので、返事をするようにコクコクと数回頷いた。


「そっか……。なら、やっと俺の長年の想いが実った訳だ」

安堵の表情を浮かべ、感慨深そうに言う。