背中に葵のあたたかな体温を感じ、ドキドキする。

「俺は自分の気持ちを伝えてるのに。ゆずはどうなんだよ」

クルリと向きを変えられ向かい合う形になった。

うぅ、こうなったら覚悟を決めないといけないのかな……。

ふぅーっと深呼吸して、口を開いた。


「あたしだって好きだバカッ」


ありったけの想いを込め、自覚したばかりの気持ちを言った。
そして、初めて自分からキスをした。


一瞬だけ重なった唇、それが離れると目を見開いたままの葵にニッコリ笑いかけた。


なにが起こったのか分からないという呆然とした表情の葵に、してやったりな気持ちになる。


「早く帰ろっと」


ニヤける顔を押さえきれず手で口許を覆い、その場で立ち尽くす葵を放置して歩き出す。