キモチの欠片


「も、もう二度とやらないから会社に報告するのだけはやめて欲しい。この通り、頼む」


頭を深々と下げるのを見た葵があたしに視線を向ける。

「ゆず、お前はどうする?」

「あたし?」

「あぁ、ゆずが被害に遭ったんだからお前が決めろ」

そう言われ、少し考える。

遠藤さんをのやったことはムカつくけど二度とやらないと約束してくれるなら―――。


「遠藤さん、二度とこんなことはやらないと約束できますか?こうなったらハッキリ言わせてもらいますけど、この先、遠藤さんと二人きりで食事に行くことはないですから。これ以上、あたしと仕事以外で関わらないと誓ってもらえるなら会社への報告はしませんけど、いかがですか?」


甘い考えかも知れないけど、肉体的な被害に遭った訳じゃないし精神的にも参った訳でもない。

気持ち悪いなと思っただけだし、やらないと本当に約束できるなら今回は会社には報告しなくてもいいかな、と思う。

本来、遠藤さんはいい人だと思うし。