キモチの欠片



「分かんないですよね、羽山さんには」

小さく息を吐く。
自分中心に世界が回ってるとか勘違いしてるんじゃないのかって思ってしまう。

それよりこれ以上、バカな事を口走ってしまう前に逃げなきゃ。


「もう二度と話しかけないでください。お願いだからあたしに構わないで……」


タイミングよくエレベーターが一階につき、扉が開いた。

葵の胸を押し、横をすり抜けてエレベーターを降りる。



「それは無理な話だ。ゆず、今日の約束忘れんなよ。必ず待ってるから」


そう言いながらも葵は追いかけてくることはしなかった。

葵の声を背中で聞きエレベーターの扉が閉まり、再び上昇していった。

何て勝手な男なの。
ホントに今さらだよ。


パウダールームでメイクを直したあと歯磨きを済ませ、鏡で自分の顔を見る。


「わっ、不細工」


あまりにも情けない顔をしていて思わず苦笑いする。


「よしっ」


パンパンと軽く頬を叩き、口元を上げて笑顔を作り、受付に戻る。



「香苗先輩、お先でした。お昼行って下さい」


休憩の交代をした。