キモチの欠片


「あ、だって柚音ちゃんが食事に誘ってもなかなかオッケーしてくれなかったからつい……」

「ついってなんですか?あたしが誘いに乗らなかった腹いせということですか?」

「いや、そんな腹いせとかじゃなくて……」

遠藤さんは口ごもる。
そこで、緩めたりしないんだから。
あたしは追い詰めるように言葉を続ける。

「じゃあ一体なんだというんですか?人に頼んでまで気持ちの悪い手紙を送りつけていいと思っているんですか?」

訳の分からない手紙が毎日のように郵便受けに入っている。
迷惑以外の何物でもない。


「あんなストーカーまがいなことをして遠藤さんに得になることありますか?ないですよね。なにか考えがあったのか知りませんが、こっちとしては全く意味が分からない。ただ、気持ち悪い思いをしただけだし。分別のつく大人ならやっていいことと悪いことぐらい分かると思いますけど」

息継ぎもなく一気に喋りまくる。

「はい……」

あたしの勢いに圧倒されたのか遠藤さんは目線を下に向け小さな声で返事をする。