キモチの欠片


「たぶん、あの手紙は握り潰して読まずに捨ててますよ」

ヤスの言葉に思わず苦笑いする。
確かに葵が封筒を開けなきゃあたしは見ることはなかった。


「なんでだよ、なにも書いてなかったら気になって開けんだろ?」

「だから、そんな訳も分かんない怪しい封筒なんて見るようなヤツじゃないんすよ。なんでこんなのが入ってるんだ?って腹を立てて速攻ゴミ箱行きですよ。柚音は大胆かと思えば慎重なとこあるし」


ハハ、流石に数年同じバイトをしていただけあってあたしの性格を熟知してる。
その通り、あの手紙はゴミ箱に捨ててた。

正面の葵からはなぜか舌打ちが聞こえた。


「とにかく、俺はもう柚音に関わることはしたくないんで一抜けさせてもらいます。先輩だからって仕方なく協力しましたけど、厄介ごとは二度と御免です。あと、こんなことしてもなにも変わらないと思いますよ」

「ヤスッ、てめぇ……」


もしかしてヤバイ雰囲気?と思った瞬間、身体が勝手に動いてた。
席を立ち、ヤスたちのテーブルへと足を進めた。


「こんばんは、遠藤さん」

ニッコリ微笑み挨拶した。(若干、顔が引きつったけど)