キモチの欠片


「よ、呼んだら離れてくれますか?あたしに近付かないでくれますか?」


祈るような気持ちで葵を見上げる。
これ以上、振り回されたくない。



「うるせぇ。そんなの無理に決まってんだろ。悪いがゆず、俺から離れるなんて事はこの先、二度とない」

はぁ?
こんな俺様発言、信じられない。
いったいなんなのよ。


「どこまで自分勝手なんですか。よくそんな事が言えますよね」

自分が思ってた以上に低い声が出た。
必死に感情をおし殺すように爪が食い込むぐらい拳を握る。


「あたしを最初に突き放したのは羽山さんでしょ。意味も分からず突然無視されて……あたしがどんなに傷付いたか分かりますか?」


あの時の惨めで悔しかった気持ちが鮮明に蘇り、唇を噛んだ。


家に行っても帰れと拒否され、話しかけてもことごとく無視された。
理由を聞いても教えてくれない。

こんな理不尽な扱いされて傷付かないとでも思ったの?

あたしはそんな強い人間じゃないんだよ。