少しだけ顔をあげると穏やかな表情をした葵と目が合う。
たったそれだけのことで胸の奥から熱い想いが溢れそうになる。
「ありがと、葵……」
泣き笑いのあたしは間違いなく不細工な顔をしている。
そんな顔なんて見せれたもんじゃないと、思い視線を下に向けたんだけど。
「コラ、俯くなっての」
「ちょっ、今、あたしの顔見ないでよ」
「いいから見せろって。別にゆずの泣きべその顔なんて昔から見慣れてるし今さらだろ」
笑いながら無理矢理顔を上に向かされ、目尻の涙をそっと拭う。
もう、強引なんだから!
いつもいつも葵はこうやって手を差しのべて、あたしを助けてくれる。
ずっと意地を張って頑なに避けていた日々を思うと、なかなか素直になるのは難しい。
だけどその手を取ってもいいのかな。
家族以外で人に大切に想われることがこんなにも心があたたかくなるなんて知らなかった。
「好きだよ、ゆず……」
ゆっくりと顔が近付いてきて“あたしも”という想いを込めて葵の手に指を絡める。
目を閉じると唇と同時に2人のキモチも重なった。



