葵の腕に包まれているだけで安心するのはどうしてだろう。
大丈夫だというようにあたしの背中を優しく撫でる。
ドクドクと規則正しくリズムを刻む鼓動の心地よさに目を閉じて身を委ねていた。
「なぁ、ゆず。しばらくの間、俺の部屋に来ないか?」
突然の申し出に驚き、身体を少し離して葵を見上げた。
「このまま、ゆずがこのマンションで生活するのは危険すぎる。立て続けて封筒が入ってるってことはそれを入れたヤツが毎日このマンション周辺をうろついてるってことだろ。しかも部屋まで知られているんだし」
確かにそうだよね。
それに、セキュリティーが万全とは言えないマンションだし……。
今まで運よく出会わなかっただけで、もしかしたらこの先、遭遇するかも知れない。
考えただけでゾッとする。
その言葉に甘えてしまってもいいのだろうか。
でも―――。
「葵に迷惑をかけてしまうんじゃ……」
「なに言ってんだよ。ゆずになにかあったらその方が俺にとってダメージが大きいんだよっ」
苦しそうな表情になり、抱きしめている腕に更に力を込める。



