キモチの欠片


「やっ、やめてよ。冷たいしくすぐったい」

思わず首を竦める。
髪の毛を左サイドで纏めてたから反対側がガラ空きだった。

洗剤のついたスポンジを持っていて両手が泡まみれだからどうすることも出来ない。


「うなじってそそるよな。肌の色も白いし、ホントなら吸い付きたいぐらいだけど」

ふぅーっと息を吹き掛ける。

「バカッ、このセクハラ男っ。変なこと言わないでよ」

なにが吸い付きたいよ。
息を吹き掛けるなっつうの。

「変なことなんて言ってない。俺はゆずのことに関してはいつだって本気だよ」

急に真面目なトーンで話し出し、あたしは返す言葉が見つからない。


「俺はもう手を緩めるつもりないから。ゆず、マジで覚悟しろよ」

耳元で悪魔の囁きが聞こえた。


「あっ……そういや、昨日の男ってゆずのなに?」

急に思い出したのか、あたしを背後から囲うようにしてシンクに両手をついた。