キモチの欠片


「はぁ?触ったってどこ触ったのよっ。なにが鉄壁の理性よ。バカじゃないの」

「どこってそりゃ……決まってんだろ。今度は脱がしてから直接触ってやるよ」

目線をあたしの胸に向けてハハッと笑う。

「葵っ、あんたサイテー。信じらんない」

ガタッと席を立ちマグカップとお皿をシンクに運んだついでに葵の背中を思い切り叩いた。

「いってぇな、叩かなくてもいいだろ。そもそも、無防備に下着姿になってるゆずが悪いんだろ。あんなの触ってくれって言っているようなもんだし。それに胸のひとつやふたつ、ちょっとぐらい触ったって減るもんじゃねぇだろ」

「減るわよ。あたしの胸は高いんだから」


葵を肩で押し退けスポンジに洗剤を付け、お皿を洗う。
なに、この学生みたいなやり取りは。

葵と一緒にいたら調子が狂う。


「ふぅん、だったら俺の身体で支払ってもいいけど」
タオルで手を拭き、意味深に笑う。
そして、ツツ……とヒンヤリとした人差し指であたしの首筋をなぞった。