キモチの欠片


「おい、あんま眉間にシワを寄せて難しく考えたり変に意識すんなよ。そんなことされたら気持ち悪ぃし」

はっ?気持ち悪ぃってなによ。
人が真剣に考え事をしてたのに。


「ちょっと、仮にもあたしのことを好きだと言った人の言葉じゃないでしょ」

なんなのその言い方はっ。
思わずジト目を向けてしまう。

この前もあたしの敬語が気持ち悪いとか言ってたし。
ホント、失礼なんだから。


「そうそう、その調子。やっぱゆずはそうじゃなきゃな。今まで通り接してくれよ」


食べ終えたお皿を手に持ち、立ち上がってキッチンに向かう。
その後ろ姿を眺めていると葵が急に振り返る。


「そういや昨日のことだけど、俺とゆずはなにもなかった。でも次に同じような状況になったらどうなるか分からないから覚悟しといて。今回は俺の鉄壁の理性を褒めてもらいたいわ。あ、ちょっとは触ったけどな」


手をなにかを触るような感じで動かし、ニヤリと口角をあげて笑った。