キモチの欠片


「えっ……、」

微かに聞こえた葵の言葉。
あたしが食べるの、そんな風に見てたってこと?

まさか社食でも……なんてことを考えたら羞恥に震えた。


「いや、なんでもねぇよ」

誤魔化すようにあたしのお皿のメロンをフォークで突き刺しパクリと口に放り込む。


「あーっ、あたしのメロンッ」


ひどい、大好きなのを知ってて食べるなんて。
ギロッと睨み付けた。

「まだ皿にもたくさん残ってんだからそんな怒んなよ。俺のやるから」

ほら、と自分のお皿のパイナップルをフォークで刺してあたしの口許にもってくる。

これを食べろってことだよね。

もしかして、“あーん”と口を開けて食べなきゃいけないの?
えー、無理無理。
そんなこと出来ないよ。


「何やってんだよ。さっさと口を開けないと俺が食っちまうぞ」

警戒してなかなか口を開けないあたしに、しびれを切らしたように言ってぐいとそれを口に押し当てた。