「長政さん」

「わ!!ビックリした。」
基咲・・・
「ごめん。何してんの?」

「考えてたの。人間が死を怖がる理由を。」

私は母さんの遺書を基咲の方へ向けた。

「へえ。難しいな。」

「そう?私は分かったわよ。」

「マジで。教えて。」

「今はダメ。あなたに守りたいものができたときに教えてあげる。」

「どういうこと?」

「まあ第1歩はやっぱり・・・」

私は基咲の耳に顔を近づけて、「やっぱり」の続きを言った。

「成柚に気持ちを伝えることでしょ♪」って。

「え、何で知ってんの?」

顔が真っ赤だよ。

「見れば分かる。」

そう言って私は葬式の会場に入った。

私ね、母さんの手紙読んで思ったの。基咲の笑顔が見たいなら、基咲が幸せになるようにしてあげよう、って。

まあ、私もそのうち素直になって、気持ちを伝えてみるかな。