昼過ぎ、母さんの意識が戻った。
「母さん!?」

「空兼かい?心配掛けてごめんねぇ」

母さんの痩せ細った声に涙が溢れる。

「母さん・・・心配したんだよ・・・」

「ごめんねぇ」


しばらく沈黙があった。その沈黙を破ったのは母さんだ。

「空兼、母さんはもうすぐ死ぬんだろう・・・?」

私はハッとして顔をあげた。

「な、何で?そんなの分かんないじゃん。」

震える声で精いっぱいそう言った。

「自分の体のことは分かるもんだよ。なんとなくそんな気がするんだ。」

「そんなことないよっ」

「やめて、空兼。母さんはそういうウソを言われるのが1番嫌なんだよ。」

「・・・・・ごめんなさい。」

「空兼、今日は帰りな。母さんは大丈夫だから。」

「え、いや・・・・・やっぱり帰る。」

帰ることにしたのは、母さんの目に涙がたまっていたから。
1人にしてあげたかった。