「お母さん・・・」

お思わず漏れた声。身体にたくさん管をつながれている。

先生はそっと病室のドアを閉めて出て行った。

それから何時間か経って、日が傾いてきた頃、父さんが来た。

「父さん・・・」

父さんも説明を受けてきたようで、目に涙を溜めていた。

「空兼・・・母さんの意識が戻ったら、いろんな話をしてやろうな。」

「うん。」

父さんは泣き笑いで、そんなことを言った。

それから、私は1人で家に帰り、夕食は食べずに布団に潜り込んだ。何も考えたくなかったから。私の悪い癖。嫌なことは考えない。