「空兼、眠たそうだねぇ」

「めっちゃ眠たい。」

「これから走るんだよー?もっとしっかりしろぉ」

「イテッ」

成柚に背中を殴られた。

「はいはい。もっとしっかりしてー。じゃあ、そろそろ行ってくるねぇ♪」

「ファイト。」

県大会の会場はやっぱり何か違う雰囲気を感じる。

成柚は余裕・・・なのかな・・・

今は女子の100メートル走が行われている。

男子100メートルに出た、永井は8人中5位。順位はともかく、自己ベストが出せて嬉しそう。

あ、成柚たちがスタートしたっ!!

頑張れ、成柚!!

ゴール!!

成柚は8人中6位。惜しいなあ。

トントン・・・

不意に肩を叩かれた。振り向くと・・・基咲がいた。

「長政さん、800メートル走の集合かかったよ。」

基咲はそれだけ言うと、タオルを持ってグランドの方へ消えた。

あ、私も行かなきゃ・・・

自分のスポーツバッグの中からタオルを取りながら、さっきの事を思い出す。