あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!疲れたぁ。次の大会でも私は800メートルを走る。だから今日は800メートル走しかしてない。
マジ疲れた。しかもここ1カ月くらい寝れない。というか目が覚める。で、最近気づいたけど、目が覚めるのは決まって基咲の夢を見てるとき。喋ったことないのに、同じクラスでもないのに、私はどうして、基咲が好きなんだろうね。あなたが男子と笑ってる、成柚のことを切ない目で見てる、そんなあなたに私はどんどん引き込まれていくのに、あなたは私のことなんか考えたことも無いでしょ?名前も知らないでしょ?

そんなことを考えると過去の記憶が蘇ってきた。

あれは保育園の頃だったかな。成柚と私が並んで歩いていると、同い年くらいの男の子が前から歩いてきた。その子とすれ違うとき、その男の子は成柚に一目ぼれしてた。
その日に同じようなことが2、3回あった。
小さい私は何か悔しくて、家に帰って1人で泣いた。
成柚は小さい頃から可愛かった。2人でいると大人は必ず成柚を可愛がった。私はオマケ扱い。辛かったけど、そんなことお母さんには言えなかった。だってお母さんが、お母さん自身のことを責めるかもしれないから。私は小さいなりに気を使って、結局お母さんには言わなかったな。

私は気付くと鏡の前に立っていることが多い。それは、子どもの頃から顔がコンプレックスだったからかもしれないね。いや、世間一般で見れば別に悪いわけじゃないけど、小さい頃から成柚としかいなかったから、成柚と比べて落ち込んでたんだろうね。南月とは小学校から一緒だったけど南月はまた美人さんで。また南月と比べて落ち込んで。

私・・・どうなっちゃうのかな?
いつの間にか基咲の事が好きで好きでたまらなくなっていた。練習が辛いときも頑張ってこれたのは隣であなたが走っていたから。

今までこの気持ちから逃げていた。無理矢理、思考を陸上の方に持って行って、この気持ちを、かき消していた。でも、今はかき消したくても、消せないくらいあなたが好き。

そんなことを思っているうちに疲れていた私はすぐに眠りに落ちた。