トントンと病室のドアをノックする。
「どうぞ。」
聞きたかった あの声が聞こえた。
「お邪魔しまーす」
成柚が入っていく。
私も成柚に連れて病室に入る。
そこには、「バカな事しちゃってゴメンネ」と自嘲気味に笑う、南月の姿があった。
「南月ー!めっちゃ心配したんだからね!!」
成柚が言った。
「そうだよ。すっごく心配したよ。」
「あはは。ありがと」
また自嘲気味に南月は私の言葉に答えた。
その時、南月ママと南陽さんが病室に入ってきた。
「「あ、こんにちは。お邪魔してます。」」
成柚と私がハモる。
「こんにちは。一昨日はありがとう。」
「いえいえ。」
「じゃあ、そろそろ行こうか」 と私が成柚にアイコンタクトで訴えると、成柚が小さく頷いた。
「じゃあそろそろ帰ります。じゃあね、南月。」
成柚の言葉に合わせて、私と成柚が南月に手を振る。
南月も手を振り返す。
その時に見えた、南月の細い手首。あれ?アザがある。
この時は気に止めなかった、南月の手首のアザ。
このとき、私が気づいていれば、南月は長く苦しむことは無かったのにね。ごめんね。


