『桜が咲くにはまだ早い三月』

助手席に置いた携帯は、あの日の着信を消せずにいる。


何よ…
バカみたいじゃないの。



勝手に涙が出てきて止まらなくなった。









え…? ベル?


携帯が鳴っている。



路肩に車を停めて携帯を取ると同時にベルは止んだ。




田辺浩太と表示された画面に、私の涙が一粒落ちた。