翌日の放課後。
「来ますかね?
犯人」
「来なければ別の手段を取るまでだ」
学園長に頼んで少しの間学園長室を貸してもらっている。
俺の傍らに立つヨルノはクールに待機しているつもりだが、さっきからソワソワした空気を振りまきっぱなしだ。
遠足前の小学生か、お前は。
そんなこんなで終業から30分ほど経過後、分厚い扉が控えめにノックされた。
「入りなさい」
声を返すと、やはり控えめに扉が開かれる。
そこにいたのは。
「君は…」
地味なブラウス。
野暮ったい黒縁眼鏡。
腰まで垂らした長い三つ編み。
「カドリ・ベカルマンです」
あの晴れた日に図書館で見かけた、地味すぎる文学少女がそこにいた。

