振り向くと、

赤い傘を持った そいつ。




俺より頭1つ半ほど小さいくせに、

手を伸ばして
俺が傘に入るようにしている。




「保健…委員だから」



は?



「保健委員だから…

生徒には風邪ひかせられません。」





なんだか意地を張ってるようにしか思えない口調で言い、
俺を見つめる。




何なの。



傘一本しかねぇんだろ。


自分で使えよ。




構わず歩きはじめると、


後ろから
傘をかかげてついて来る。



何これ。







…はぁ




「…面倒くせぇ」





いきなり立ち止まる俺に

そいつがぶつかり
「わっ」と声を上げる。




「お前家どこ」


「へっ?」


「家」


「……あっち…だけど?」



そいつは校門の左の道を指す。




「ん」


「えっ??」




傘を取り上げた俺に

全く意味わからないという顔をするそいつ。




「ぇ?」



「帰るんだろ」



「一緒…に?」



「早くしろ」




ぶっきらぼうに言うと

驚いた顔のままついて来た。





こうでもしないと

帰れないだろ、俺。