「奈都…頼子ちゃんもごめんなさいね。私がみつきを信じられなかったばっかりに…長い間、皆に迷惑をかけてしまったわ…」
「秋穂さん。これは分かってほしいんやけど、人は誰でも人を疑う心はあります。信じるばかりやったら騙される事もあります。自分を守るのが大切な時もあるって事を忘れんといて下さい。」
「そう…ね…」

紗季の言葉に目を伏せる。

「母は秋穂さんや奈都を逃がした事を後悔していません。自分がそれで犠牲になったとしても。秋穂さんは母との付き合いも長い。母の性格は御存知の筈ですよね?」
「…ええ。みつきは…そういう人だわ。何時も自分が盾になろうとする…守ってもらってばかりだったわ。私は守ってもらった以上、みつきを後ろからでも信じて支えなくちゃね。」

瞳に決意を滲ませて顔をあげた。

「お願い…みつきを助けてあげてね。私は私で頑張るわ…もう二度と取り憑かれたりしない。」
「憑かれない為に一番良いのは気を強くもつ事ですわ。一応、この病院には魔除けの術をかけときました。安心してリハビリして下さいね。」
「ありがとう紗季ちゃん…」
「秋穂さん、頑張って下さい。…でないと、我が家は奈都に家事を背負わせっぱなしだ。」

頼子が肩を竦めて笑いながら言うと、

「あら、それは大変だわ!早く帰らなくっちゃ!」

驚いた様に言って、秋穂は笑い声をあげたー