修学旅行から戻ると、

「おかえり~待っとったで~。」
「おかえり~。楽しかったかい?紗季ちゃんもさっき来たんだよ~。」

紗季と頼良が出迎えに出た。
すっかり二人は馴染んだようである。

「親父、事情を聞いてたそうだな。なんで話さなかった?」
「旅行の直前で話す暇なかったし、どうせなら運命的な出会いの方が良いかな~って思ってさ。」
「実際、劇的な出会いだったしなぁ~?頼良さんグッジョブやわ。」
「でしょ?まぁみつきが敵に操られてるなんて想定外だったけどね~。生きてて良かった。」
「ほんまやな~。まぁちょっと問題もあるんやけど…玄関で立ち話もなんやし、頼子も奈っちゃんもあがりや~。」

既にずっといたような風格さえ醸し出している。
言われるがままに二人は家にあがった。
荷物を各々の部屋に置き、居間に集まる。

「それで、奈っちゃんのお母さんやけど、いつ病院に行こか?」
「今日はもう遅いから、明日なら大丈夫だと思うわ。」
「私も行って良いかな?みつきに会えるかもしれないし。」
「親父はやめといた方が良いんじゃないか?清結界が邪魔になって獲物が逃げるかもしれない。」
「え~っ?紗季ちゃんそうなの?駄目かなぁ?」

シュンとしてしまった頼良と、何故か奈都を交互に見ながら

「う~ん…頼良さんが邪魔になるんやったらお見舞いに行ってる時に退魔してる筈やろ?見舞いに行っても目覚めんって事は、秋穗さんの奥深くにいて清結界が届かんって事やしな~。」

考えている。チラッと奈都を見て

「頼良さんが、みつきさんを見れる可能性はめっちゃ低いんよ~。結界あるから霊が寄ってけぇへんやろ?悪にも善にも作用するみたいやし。どうしてもって言うんやったら気持ちを尊重するけどな~。」