すると頼子は鼻で笑って

「この後を見越して逃げたのさ。ほら、等々力さんが来たぞ。」

走ってくる等々力を示した。

「お嬢様!旦那様と奥様が直ぐにこちらにいらっしゃると…」
「大変ですわ!両親が参りますと本当に騒ぎになってしまいます。等々力!私が戻りますので、こちらに来るのは止めさせて頂戴!」
「わかりました。車を回しますのでお嬢様はご準備を。それでは頼子様、奈都様。お邪魔致しました。くれぐれも頼良様に宜しくお伝えくださいませ。」

準備と言っても挨拶くらいしかないが、それでも時間をくれたという事だろう。

「加代ちゃん帰るのかい?」

ヒョイと顔を出した頼良に頼子は渋い顔をする。

「全く、等々力さんをどんな手を使ってでも加代から遠ざけろとは言ったが、何をやったのか言ってみろよ。」
「ん~?普通に加代ちゃんに稽古つけてあげようとしただけだよ~?」

わざと怪しい事をしているように誤解させたなんて言えないだろう。加代も理解していないようだし、ここは惚けておくに限る。
この男、なかなかのくわせ者なのだ。勿論、付き合いの長い頼子には大体の想像はつく。

「まぁ、これで親父も私達に協力せざるを得なくなった訳だ。頼りにしてるぞ親父殿。」

ニヤリと笑う頼子を見て

「誰に似たんだろう?」

とブツブツ言っている。自分にそっくりな事は明白なのだが。

「とにかく、これで坂田財閥は全面バックアップを約束したようなものです。頑張って平和を守りましょうね。」
「そうね加代ちゃん。皆で頑張りましょうね。」

奈都と加代は嬉しそうに張り切っている。

【加代の力のコントロール】

第一課題はクリアされた―