放課後、頼子は帰る支度を終え、日直だった奈都が戻ってくるのを待っていた。
廊下で何か騒いでいる。その元凶が自分の教室に近付いているらしく

「きゃぁっ!危ない!」
だの
「大丈夫か?何処に行くの?」
だの
「私は大丈夫です。そこのライコ様の教室に行くだけですので、お気遣いなく…」
だの…

「まさか!」

思い当たる人物は一人しかいない。
頼子は勢いよく立ち上がると、教室の入り口へ駆けつけた。

「ライコ~!可愛いお客さんだよ~?何処で掴まえたの?」
「…やっぱり加代か…」

級友の言葉を聞き流しながら廊下を見ると、転んだり、よろけながら歩いて周りをヒヤヒヤさせている張本人がいた。

「あっ!ライコ様、私、お伺いしたい事があって参りました。」
「いいから、そこから一歩も動くな。」

素直に立ち止まった加代にスタスタと歩み寄ると、軽々と抱えあげて、周りの声を無視しながら自分の席に座らせる。

「すみませんライコ様…」

シュンとしてしまった加代の頭を軽く撫でると、集まっていたギャラリーを視線で追い払う。鋭い視線にあっという間にギャラリーは散っていった。

「気にするな。加代が可愛いから放っておけないんだろ。」

苦笑いしながら言うと、加代は顔を赤くながら

「それで、私が参りましたのはライコ様と奈都様に本日、この後のご予定がありますかどうかなのですが…」

一所懸命に言った。