side:ユウヤ



土曜日だってのに学校は意外と生徒が居る。

部活で来てる奴らが殆どだと思うがご苦労なことだ。

「あれ、ちぃーどこ行くんだよ?」

「んっ?」

寝ぼけてるんじゃないかってぐらい眠そうなちぃー。

歩いてる足取りは普通なんだけどな、

眠そうな顔してっから気をつけろよ。

怪我すんじゃねーかと心配なぐらいだ。

地味にドジ踏むからたまに心配になんだよな。

「痛い・・・・・」

ほら、見ろ!

辞書に躓いてんじゃねーかよ!

つーか、何で廊下に辞書落ちてんだよ。

「Σ( ;ω;)」

「千治、大丈夫?」

馨が誰だろうねこんなところに辞書置き忘れたなんて

と辞書を拾いあげるとはいっと何故か俺に渡してきやがった。

「何で、俺っ!?」

「何となく?」

何となくじゃねーよ!馨に渡されたら受け取らないわけには

いかないじゃねかよ。

「それで、千治どこ行こうとしてる?」

馨が困ったように千治に視線を向けると、

「どら焼き買いに行ってくる。」

行く気満々のちぃーにため息を吐いた馨。

「寝ぼけて転ばないようにな?」

「そんなドジじゃねえ。」

「いや、オメエドジっ子になりつつあんだろーが!」

否定するちぃーに慶詩がツッコミを間髪入れる。

「ちぃー、俺もどら焼き食べる!」

ナルが目を輝かしてちぃーを見ている。

「待ってろ、買ってきてやるからな。」

ポンッとナルの頭に手を乗せるちぃーに、

楽しみと言わんばかりに目を輝かすナルが笑った。

「・・・・千治、俺も行こうか?」

「京は何が食いたい?」

「・・・・同じのでいい」

京がボソッと呟いた言葉にちぃーが笑って頷いた。

「おい、俺様も食うぞ!」

「・・・・仕方ない、多めに買ってくる。」

ちぃーが、下駄箱の方に歩いていくのを見て、

何故かよく分からないけど嫌な気持ちになった。

変な違和感ってものを感じて行かせちゃ駄目だって

思ったのに引き止めるのは変だなと思った。