かなりクラスに馴染んできた頃、
学校で毎年恒例の山間研修があった。
出席番号の近い人と班を強制的に作らされ、
そのメンバーで山を登った際に、
自炊を一緒に行って親交を深めるものだった。
入学して初めてのイベントなのでわくわくしてた。
山を登って、ご飯を食べて自由時間。
小学校からの友達や新しい友達と
お菓子を広げて話しながら一緒に食べてた。
そしたら、目の前に男子の集団が居て、
そこに彼方もいた。
じーっと見てたら、目が合った。
すると彼は、あたしに向かって何かを投げた。
「あげるっ」
あたしは慌てて受け取った。
それは、
でろでろに溶けたチョコだった。
「いらないっ」
あたしは速攻で返した。
日に日に、
『噂のイケメン』 が 『牧野彼方』
になっていった。