ハンドミラーで自分の顔を確認する。 そんなに大泣きしたわけじゃないし、目をこすってもいないから、目が腫れたりだとかはしてなかった。 私はチャイムに手をかけた。 そして、チャイムを押す― たった、それだけの、一瞬の勇気。 そんな勇気を振り絞るのさえ… 私にとっては大変なことだった。 …えいっ! もうどうにでもなれ! という思いで、私はピンポンを押した。