翌日、恭一は一人で大学へ向かって歩いていた。
結局昨日は喧嘩したまま帰宅してしまった。
喧嘩と言っても一方的に恭一の機嫌が悪かっただけ。
どうしてあんな態度をとってしまったのかと後悔が押し寄せ、溜息がつきない。
「……俺、どうしちゃったんだろ。」
一晩寝て、冷静になった恭一は朝一で近藤に謝ろうと決意していた。
にもかかわらず、携帯に届いたメールは無情なもので、今日から朝練が始まるという知らせだった。
謝ることの出来ないまま登校。
気分は憂鬱だった。
恭一の心とは裏腹に晴れ渡る空。
そんな空は恭一の気持ちを更に憂鬱にさせた。
「……早く謝ろ。」
大学へと登校したものの近藤は捕まえられず、謝れないまま放課後となってしまった。
――放課後は演劇部の練習のはずだ。
今度こそ、と恭一は体育館へと足を向けた。


