「……ごめん。

……もう大丈夫? ほんとゴメン」

「……謝らないで!」


肩を抱こうとした俺の腕を振り払うと。

ユカは片手を伸ばしてバッグをひっつかんで、突然小屋を飛び出した。


(“謝らないで”——?)


ザクザク音を立てながら、最初トボトボ歩いていたユカは、そのうちだんだん早足になって、まるで鹿のように斜面を駆け下りていく。



(まさか、あんなに拒まれるなんて)


ショックで呆然としたまま。

俺はその背中を目で追うことしかできなかった。