あの頃のように

「日本は、まじめに働いてまじめに暮らしている人が報われる、そんなまともな社会だったはずだ。違う?

やつらはそれ相応の報いを受けないといけない」

「……」


(パパとおんなじことを言うのね)


無言のあたしに、山下さんもしばらく無言になった。

やがて、電話の向こうで、はぁ、と大きなため息が聞こえた。


「……ごめん、悪かった。

イヤに決まってるよな。

ごめん、沙稀ちゃんの気持ちも考えないで一方的にこんなこと言って。

これはあきらめるよ。

ひとりで盛り上がって、変なこと言って悪かった。

本当にごめん。忘れてね」


がっかりしているようで、どこか安心したような口ぶり。